消防団員等公務災害補償制度の概要

町村の消防団員や消防作業従事者等が、火災消火などの公務中に、公務に基づく災害を被った場合、その被った災害に対して補償を行います。

補償の対象となる者について

補償の対象となるのは、構成町村の消防団員等および消防作業等従事者です。

・消防団員等とは、各町村において条例で定められた非常勤特別職の地方公務員である消防団員および水防団員のことです。

・消防作業等従事者とは、いわゆる民間協力者のことです。現場近くにいる人が消防隊到着前に消火活動等を行う場合、消防隊到着後に消防職員や消防団員の要請に応じて協力した場合などがこれにあたります。

公務災害の認定について

被った災害が公務災害であると認められるためには、公務遂行性および公務起因性が認められる必要があります。

・公務遂行性とは、被災の原因が公務遂行中のものであったかどうかを判断するものです。
一般的には、消防団長等の指揮命令の下で正規の消防・水防活動を行っていたかどうかで判断されますが、消防業務が多様化しているため、個別事案ごとに判断されます。

・公務起因性とは、公務に従事したために被災したかどうかを判断するもので、その公務を行わなかったら起きなかったであろうということが明らかであるかどうかにより判断されます。
被災が負傷である場合には、外見上から判断することが容易ですが、脳血管疾患などの場合には、現場の状況や過労の程度、基礎疾患等を勘案する必要があるため、医学的、専門的な判断をすることとなります。

損害補償の種類と概要について 

損害補償は、公務災害によって生じた基本的な損害を補償するものです。

(1)療養補償
医師の診察や治療にかかる費用を支給するものです。

(2)休業補償
療養のため勤務することがでず、給与等の収入を得ることができなくなった場合に、被災者ごとに定められた補償基礎額の60%を補償するものです。

(3)傷病補償年金
負傷や疾病の場合で、療養開始後1年6箇月を経過しても傷病が治らず、一定の傷病等級に該当するときに支給する年金です。

(4)障害補償
負傷や疾病の場合で、傷病が治った後に一定の障害が残ったときに、障害等級1級から第7級までの者には年金を、障害等級第8級から第14級までの者には一時金をそれぞれ支給するものです。

(5)介護補償
傷病等級2級以上の傷病補償年金または障害等級第2級以上の障害補償年金の原因となった障害のうち、特定の障害により介護を要する状態にある者が、介護を受けるための費用を支給するものです。

(6)遺族補償
消防団員等および消防作業等従事者が死亡した場合に、その遺族に対して、遺族補償年金または遺族補償一時金を支給するものです。

(7)葬祭補償
消防団員等および消防作業等従事者の死亡に際して、遺族等が葬祭を行った場合に、費用の一部を支給するものです。

福祉事業の種類と概要について

福祉事業は、消防団員等の公務災害に対して、損害補償の他に付加的に給付するものです。

(1)外科後処置
障害等級に該当する者のうち、義肢装着のための断端部等の再手術等の処置が必要であると認められる者に対し、診察、薬剤または治療材料の支給等の外科後処置を行うものです。

(2)補装具
障害等級に該当する者のうち、補装具を必要とする者に対し、義肢、義眼、補聴器、車いす等の必要な補装具を支給し、またはその費用を支給するものです。

(3)リハビリテーション
障害等級に該当する者のうち、社会復帰のために身体機能の回復等の措置が必要であると認められる者に対して必要な措置を行い、またはその措置に必要な費用を支給するものです。

(4)アフターケア
外傷による脳の器質的損傷を受けた者等一定の傷病を有する者に対して、円滑な社会生活を営ませるために、治癒後であっても症状の安定、維持または予防を図る必要のある特定の疾病について、一定範囲の必要な処置を行うものです。

(5)休業援護金
休業補償を受ける者に対して、原則として補償基礎額の20%に相当する額を支給するものです。

(6)在宅介護を行う介護人の派遣に関する事業
傷病補償年金または障害等級3級以上の障害補償年金受給権者のうち、在宅介護を受けている者に対して、介護人を派遣し、介護その他の日常生活を営むのに必要な介護等を供与し、またはその供与に必要な経費の一部を支給するものです。

(7)奨学援護金
年金受給権者(障害補償年金の障害等級第4級から第7級を除く。)のうち、本人やその子が在学者である等一定の支給事由に該当する者に対して、学校の区分に応じて、在学者1人につき一定の月額を支給するものです。

(8)就労保育援護金
年金受給権者(障害補償年金の障害等級第4級から第7級を除く。)のうち、本人やその未就学の子が保育所に預けられる等一定の支給事由に該当する者に対して、児童1人につき一定の月額を支給するものです。

(9)傷病特別支給金
傷病補償年金の受給権者に対して、傷病等級の区分に応じて一時金を支給するものです。

(10)傷病特別給付金
傷病補償年金の受給権者に対して、一定の限度において、年金額の20%に相当する額を支給するものです。

(11)障害特別支給金
障害補償の受給権者に対する見舞金として、障害等級の区分に応じた一時金を支給するものです。

(12)障害特別援護金
障害補償の受給権者に対して、障害を残した者の生活の援護をするために、障害等級の区分に応じて一時金を支給するものです。

(13)障害特別給付金
障害補償年金および障害補償一時金の受給権者に対して、一定の限度において、それぞれの年金額または一時金額の20%に相当する額を支給するものです。

(14)遺族特別支給金
遺族補償の受給権者に対して、支給対象者の区分に応じて一時金を支給するものです。

(15)遺族特別援護金
遺族補償の受給権者に対して、支給対象者の区分に応じて一時金を支給するものです。

(16)遺族特別給付金
遺族補償年金および遺族補償一時金の受給権者に対して、一定の限度において、それぞれの年金額または一時金額の20%に相当する額を支給するものです。

(17)長期家族介護者援護金
傷病補償年金または障害補償年金の受給権者(10年以上年金を受給している者に限る。)のうち、一定の障害に該当する者が私傷病により死亡した場合に、長期間介護にあたってきた遺族に対して、一時金を支給するものです。

自動車等損害見舞金支給事業について

消防団(水防団を含む。)の災害活動において、団員が使用した自家用車に3万円以上の損害が発生した場合に、10万円を限度として見舞金を支給するものです。

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